2019
8/22
【唾液減少】唾液の主な役割とドライマウス
口腔乾燥症(ドライマウス症候群)に関するお悩みも多く寄せられることから、今回は、年齢を重ねられた方に多い、口腔乾燥と唾液の関係についてのお話をいたします。ドライマウスと一言で言っても、「口の中が乾く、ネバネバする」「舌が乾いて粘膜に張り付いてしまい、話しづらい」「乾燥して粘膜がヒリヒリする」等、患者さんによって感じ方が多種多様なのがドライマウスの特徴です。ご自身のお口の中が乾燥状態にあるのかどうかよく分からない?という方もいらっしゃるかもしれません。ドライマウスと唾液の役割について解説しました。
口腔乾燥(ドライマウス)の特徴
こんにちは!歯科衛生士の町田です。
今年の夏も猛暑に見舞われていますが、皆様体調などおかわりありませんでしょうか?今年は、梅雨の時期に、しっかり雨が降ってくれたせいか、7月は比較的涼しい日が続きました。そのために8月に入り一気に真夏がやってきた!という感じですね。
急な真夏の到来に、体調が優れない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか!?まだまだ、暑い夏は続きますので、熱中症にご注意いただきお過ごしください。
さて、今回のブログは『唾液』について書いてみたいと思います。
歯科医院には多くの悩みを抱えた患者さんが数多く来院されます。
その中でも、口腔乾燥症(ドライマウス症候群)に関するお悩みも多く寄せられることから、今回は、年齢を重ねられた方に多い、口腔乾燥(以下、ドライマウス)と唾液の関係についてのお話をいたします。
実は、ドライマウスと一言で言っても、「口の中が乾く、ネバネバする」「舌が乾いて粘膜に張り付いてしまい、話しづらい」「乾燥して粘膜がヒリヒリする」等、患者さんによって感じ方が多種多様なのがドライマウスの特徴です。
さらには、ご自身のお口の中が乾燥状態にあるのかどうかよく分からない?という方もいらっしゃるかもしれません。それでは、下記にドライマウスの兆候について、少しご紹介します。
<ドライマウスの特徴>
○口の中がネバネバしたり、カラカラする
○口臭が気になる
○気がつくと口で呼吸している
○舌がひび割れる、口の中が痛い
○目や鼻などが乾いている
○夜間にのどが乾いて目が覚める
○食べ物が飲み込みにくい
○口が乾いて、入れ歯が入れていられない
以上の項目に当てはまる数が多いほど、『ドライマウス』の可能性が高くなります。皆さんはいかがでしょうか?
そもそも唾液の働きとは何か
後半で、ドライマウスについてご説明していきますが、その前に、そもそも唾液とはどのような役割をしているのかについてご説明します。唾液には、様々な働きがあり、主に下記のような役割をしています。
(1)潤滑作用
歯ぐきや舌などの粘膜を保護して傷つかないようにする「潤滑作用」です。食べたり喋ったりするのをスムーズにする働きがあります。
(2)消化作用
食物に含まれるデンプンを糖に変える「消化作用」もよく知られており、ご飯をよく噛むと甘くなるのはこのためです。
(3)抗菌作用
「ケガをしたら唾液をつけておけば治る」といわれているのも、唾液に「抗菌作用」があるからなのです。
(4)洗浄作用
食べかすを洗い流して、お口に残るのを防ぎます。
(5)緩衝作用
お口の中の酸性度(pH値)を正常に保って、酸性に傾き歯が溶けることを防ぎます。
(6)その他
細菌をお口の中から排出する作用など、むし歯や歯周病から歯を守るための働きなどたくさんあります。
また、唾液内の糖タンパクにより歯の表面に形成されるペリクルは、歯を保護してくれます。さらにペリクルは、お口の粘膜を修復する成分も含んでおり、傷を治す作用もあります。
唾液減少の原因
それでは次に、唾液減少を導く、主な原因(理由)について説明していきます。唾液が少なくなる原因は、下記のとおり、大きく分けて6つあります。
1.シェーグレン症候群
シェーグレン症候群とは自己免疫の異常によって起こる病気で、唾液や涙が出にくくなる症状があります。
2. ストレス
人はストレスを感じると、お口の中の唾液の出る量が少なくなります。これは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れるからですが、この状態が継続して続くと、ドライマウスの原因になる可能性があります。
3. 薬の副作用
抗不安薬、解熱鎮痛剤、咳・鼻水・痰を抑える風邪薬など、水分量が減る副作用があるものがありますが、薬の量が増えると、ドライマウスの原因になることがあります。
4. 糖尿病、高血圧など全身疾患
糖尿病や高血圧などの生活習慣病の方は、ドライマウスになりやすく、またその薬の中には、唾液の出る量が少なくなったり、体の水分量が減るなどの副作用があるものがあり、ドライマウスの原因になることがあります。
5. 口呼吸
歯の噛み合わせ、アデノイド(咽頭扁桃の肥大)などが影響して口呼吸になっている場合は、お口の中が乾燥しやすいため、ドライマウスの原因になることがあります。
6.食生活
現代の食生活は軟食が多く、やわらかい食べ物ばかり食べていると、唾液の出る量がだんだん減り、ドライマウスの原因になる可能性があります。
唾液減少による影響
上記の通り、唾液の量が減ってしまう原因には、様々あることがおわかりいただけましたでしょうか?
唾液の量が減ると、お口の中の洗浄作用が弱まり、いつまでも食べ物がお口の中に残ってしまいます。また、飲食物によって下がったpH値がなかなか元に戻らず、歯の表面が溶け出す「エナメル質の脱灰」が進んでしまいます。脱灰がどんどん進行するとむし歯になってしまいます。
さらに、唾液に含まれる抗菌物質やタンパクの量の減少や、歯を保護してくれるペリクルが作られにくくなる事で、お口の中が菌に弱い環境になってしまいます。このように、唾液の減少によって様々な作用が弱まるため、むし歯や歯周病のリスクが高くなってしまうのです。
その他にも、口内炎が出来やすくなったり、口臭がきつくなったり、味を感知する「味蕾」が破壊されてしまうこともあります。
ドライマウスはなぜ起こる
そして最後に、ドライマウスについてご説明します。ドライマウスとは、唾液量の減少と質の異常をきたす病気で、そのため、口の中が乾燥して様々な不快症状を引き起こします。
別名、「口腔乾燥症」ともよばれています。日本では約800万人の方が 、ドライマウスの症状があるとも言われています。
ドライマウスが軽度な場合は、お口の中がネバネバし、口臭が出たりします。
通常、お口の中の細菌は唾液で洗い流されますが、唾液の量が少なくなるとお口の中の細菌が増え、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。
さらに、ドライマウスの症状が重度になってくると、強い口臭に見舞われます。
舌がひび割れて痛くなったり、表面の性状が変わってしまったりします。また、食べ物が飲み込みづらくなり、食事が出来なくなったり、食べ物の味を感じなくなったりもします。
またしゃべるのが困難になったり、睡眠障害の症状が出ることもあります。
当然のことながら、歯周病菌や虫歯菌が大量に増えますので、虫歯が増え、歯槽膿漏、歯周病で歯がグラグラしてきて、抜けてしまったりするだけでなく、お口の中の細菌が肺に入って肺炎を引き起こす「誤嚥性肺炎」になることもありますので注意が必要となります。
たかが口腔の乾燥だと軽視していると、どんどん重症化することがありますので、ドライマウスについて知識をつけ、問題がある場合は、早めに歯科医院に相談することが大事です。
唾液には様々な作用があり、お口の中の健康を守っています。当院では唾液腺マッサージなども行なっておりますので、お口の中の乾燥が気になる方は一度ご相談ください!今後のブログでは、唾液減少の解決策について紹介していきます。