2017
6/07
【症例・親しらずの抜歯】一般歯科治療
親知らずとは
人間の歯の内、奥から3本の歯は大臼歯と呼ばれます。その中でも、『親知らず』とは大臼歯の中でも、一番後ろにある歯で、正式名称を第三大臼歯と言います。また別名で智歯(ちし)とも呼ばれています。
『親知らず』とは、前歯から数えすと8番目にあたり、最後に発育する永久歯です。通常は、15歳前後に生えそろう永久歯ですが、『親知らず』だけは、10代後半〜20代前半に生えることから、“親に知られることなく生えてくる歯”ということで、別名『親知らず』と呼ばれるようになったと言われています。
あまりにも有名な『親知らず』ですが、あまり詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれません。この機会に、簡単に説明しておきます。
『親知らず』とは、上下左右に2本ずつあるため、合計4本あります。
しかし、元々、『親知らず』の無い人もいれば、4本揃って生えていない人もいて、個人差があります。『親知らず』が生えてこれるようなスペースが不足していたり、正しい方向に生えて来なかったりする人もいて、マチマチなのです。
親知らずの問題
そこで、『親知らず』の何が問題になるのかについて触れていきます。
例えば、『親知らず』は歯肉に部分的に被ったままになってしまうと、歯肉の炎症を起こしやすくなります。(智歯周囲炎)20歳前後の若い層に発生し易い歯周炎だと言われています。
これらの炎症が治まらず広がってしまうことにより、お口が腫れたり、口が開きにくくなってしまう場合があります。こんな状態になった場合は、ある程度お薬でコントロールしますが、どうしても親知らずの生えている方向が悪い場合や、何度も何度も炎症をくり返してしまうようであれば、『親知らずの抜歯』を検討する必要があります。
よって、『親知らず』と言えば『抜歯』というイメージが強いのではないでしょうか?
もちろん、正常に生えている親知らずの抜歯は、比較的簡単なのですが、あごの骨の中に埋まっていたり、歯の根っこの形が複雑だったりすると、歯肉の切開が必要になったり、骨や歯を削ったりする必要があり、非常に大変な抜歯となってしまいます。
全身状態を見ながら治療を進めて行く必要があります。
親知らずの症例から
特に、親しらずを抜歯しなければならない一番の理由は、しっかりと噛んでいる手前の歯をむし歯にせず長持ちさせるためです。第2大臼歯は親知らずで虫歯にしてしまう事が多いため、最も寿命の短い歯になります。
上の写真は、左下の親しらずが真横にうまっています。
明らかに、『親知らず』が正常に生えてこなかった事がお分かりになるでしょう。
この状態が続くと、手前の歯との隙間に常に食べカスが残ってしまい、放置しておくと手前の大事な歯まで虫歯にしてしまうリスクが多大にあります。上の親しらずも下の歯が埋まっているため、下にのびてきています。
非常に、問題の多い『親知らず』です。
また、手前の歯との隙間には深い歯周ポケットがあり、ブラッシングでプラークを完全に除去することは不可能となります。
このようなケースでは、トラブルが起きる前に抜歯になることが多いです。
特に女性は、妊娠、出産など抜歯処置が出来なくなってしまう可能性を考慮して、なおはやめに対応することが重要となります。「抜かなきゃいけないのはわかってるけど・・・」という方も、勇気を振り絞って歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか!?
真横にはえてしまっている親しらずは多くの弊害をもたらします。
何事も、放置せず早めに専門家に診てもらい、早めに対処することをおススメいたします。