2018
4/18
【お役立ち】歯科医院でもお薬手帳を忘れずに!
みなさん、病院や薬局に行く時は「お薬手帳」を持って行くけれど、歯科医院では必要ないと思っていませんか?
実は、歯科医院においても、お薬手帳を見せていただくと、とても助かります。
その理由について説明しています。
歯科医院でもおくすり手帳をお持ち下さい。
こんにちは、太田歯科クリニック受付の高橋です。
今年は、例年以上に花粉の量が多く、花粉症の症状に苦しんだ方も多いと思いますが、4月に入り、ようやく少しずつ落ち着いてきましたね。
また、4月は入学、進学、入社、引っ越し等など….新生活による環境の変化に、ストレスや疲れが溜まりやすい季節です。さらには、寒暖の差が大きいことから自律神経が乱れやすく春バテになる方が多いそうです。皆さんは、お変わりないでしょうか?
そんな時は、入浴で体を温めるなどして、体を冷やさない様にみなさん気をつけて下さいね!
さて、今回はとっても大事な「お薬手帳」のお話しをしたいと思います。
みなさん、病院や薬局に行く時は「お薬手帳」を持って行くけれど、歯科医院では必要ないと思っていませんか?実は、歯科医院においても、お薬手帳を見せていただくと、とても助かります。
実は、みなさん(患者さん)が想像する以上に、歯科治療では患者さんの持病及び、持病の治療薬に影響を受けやすいのです。その為、治療後の経過をよくしたり、治療を安全に行うためは、歯科医院でも患者さんの持病や持病の治療のため服用しているお薬について出来るだけ詳しく、正確な情報が欲しいと切実に思っています。
今はお薬の数が膨大で新薬も続々と出てきているため、医師や歯科医師が全てのお薬を把握するのが難しくなってきています。
また、近頃は持病の治療を受けていて、様々な診療科にかかり、それぞれの診療科で処方された多種多様なお薬を飲んでいる患者さんが増えてきています。
お薬のおかげで体調を維持出来ている患者さんも増えました。ご高齢の患者さんの場合、ほぼ例外なく何種類もお薬を飲んでいると言ってもよいほど。そのお薬をご自身で全て把握し、随時歯科医院に申告するのはとても大変な事と思います。
そうした中、歯科医院では患者さんが他科でどんな治療を受けてどんなお薬を服用しているのかを把握し、配慮することがとても重要なのです。
歯の治療とからだのことは切り離して考えがちですが、持病は歯科治療に影響しますし、他科で処方されているお薬が歯科治療に影響する場合も多々あります。
患者さんの体調維持に欠かせない持病のお薬の副作用で、歯科治療を受ける際に患者さんが不利益をこうむらないように、細やかな配慮をしながら治療を行う必要があります。
持病のある方、持病の治療でお薬を服用している方、歯科医院にもぜひ「お薬手帳」をお持ちいただきたいと思います。
さらに今回のブログ記事では、年齢を重ねられた患者さんに多い2大疾患である『高血圧』と『糖尿病』の持病をお持ちの方が、歯科医院を受診される際の注意事項をお話していきます。
国民病とも言える、高血圧と糖尿病
現在、高血圧の患者数は国内で約4,300万人と言われています。
まさに、高血圧は国民病といえます。さらに、糖尿病の患者数は予備軍を含めると2,050万人に上る病気です。そして、糖尿病の方は血圧が高くなりやすく、40~60%の患者さんが高血圧をあわせもっています。
高血圧も糖尿病も、いずれも症状のないまま進行する病気であることが共通事項です。治療せずに放置しておくと、実にさまざまな合併症を引き起こします。
直接死につながる可能性もあり、日本人の死因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞などの怖い病気も、高血圧や糖尿病が互いに影響しあって動脈硬化が進行した結果発症します。
糖尿病の方は、血圧がそれほど高くない軽い高血圧でも、積極的な治療が必要です。血糖値とともに血圧のコントロールもとても重要となってきます。
食事療法やお薬で血圧がコントロール出来ていれば、通常の歯科治療を受ける事が出来ますが、心配な方は歯科医院にて血圧を測定後、治療を受けるとなお安心です。
高血圧の方の歯科治療での注意点
それでは、高血圧の方の歯科治療における注意点をご説明していきます。
高血圧をお持ちの方で、食事療法やお薬でコントロール出来ていれば基本的には、ふつうに歯科医院にて歯科治療が受けられます。しかし、少し注意して頂きたい点もいくつかあります。
では、高血圧が歯科治療にどう影響するのかご説明いたします。
- 1.出血しやすい傾向があります
血圧のコントロールがされていないと、歯周ポケットの深いところのスケーリング、歯茎の切開や抜歯などの外科処置をした際に、出血しやすい傾向にあります。 - 2.血液サラサラのお薬を飲んでいる方の注意
高血圧の合併症である血管病の治療のために血液サラサラのお薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を飲んでいると外科処置後になかなか出血が止まりません。止血処置を念入りに行う必要があります。 - 3.血圧が急上昇しやすいです
どんなに度胸のいい方でも、歯科治療は緊張するものです。治療中に血圧が急上昇してめまいやふらつきが起きてはとても危険です。食事療法や飲み薬で血圧を十分コントロールして歯科医院を受診するようにしましょう。
糖尿病の方の歯科治療の注意点
次に糖尿病をお持ちの方の注意点です。
たとえば、糖尿病で血液サラサラのお薬を飲んでいる患者さんが、その事を知らずに、歯科医院にも知らせずに抜歯を受けると、血が止まらず大騒ぎになることがあります。歯科医院が適切な配慮をして、安全に治療を行うためには正確な情報が必要になってきます。
では、糖尿病は歯科治療にどう影響するのかご説明します。
- 1.血液サラサラのお薬を飲んでいる方の注意
糖尿病の合併症である血管病の治療のため、血液をサラサラにするお薬を飲んでいると、外科処置後なかなか血が止まらなくなってしまいます。そのため、止血処置を念入りに行う必要があります。 - 2.傷が治りにくく感染しやすいです
手術後や抜歯後の傷が治りにくく感染しやすいため、抗生物質などは歯科医院からの指示通りきちんと飲むようにしましょう。 - 3.歯周病になりやすいです
糖尿病の方は、歯周病の炎症が起きやすく、治療しても治りにくいという傾向があります。普段から歯科医院に通い、定期的なメインテナンスを受け、歯周病からご自身の大切な歯を守りましょう。 - 4.低血糖発作を起こすことがあります
低血糖発作を起こさないよう、食事療法、飲み薬、インスリンなどで血糖値のコントロールをして体調を整え、自己判断で食事を抜かないで治療にのぞむようにしましょう。
このお薬にご注意を!
それでは最後に、特にご注意いただきたいお薬について書いておきたいと思います。
- 高血圧の方
血管に血の固まりが出来ないように飲むお薬があります。
自己判断での休薬は絶対にしないで下さい。
高血圧の方に注意して頂きたいお薬が以下になります。
(おもな抗凝固薬)
・イグザレルト・エリキュース・プラザキサ・リクシアナ・ワーファリン
(おもな抗血小板薬)
・エパデール・バイアスピリン・プラビックス
・アンプラーグ・エフィエント・オパルモン など
- 糖尿病の方
歯科医院でよく処方される痛み止め「ロキソニン」は、糖尿病の飲み薬の代表格「スルホニル尿素薬」の働きを阻害します。歯科医院の処方は3日分程度ですので、大きな影響はないと思われますが、出来ればロキソニン以外の痛み止めを処方してもらいましょう。
糖尿病の方に気をつけて頂きたいお薬が以下になでります。
・ロキソニン・アマリール・オイグルコン・グリミクロン・ダオニール
今回は、高血圧と糖尿病についてお話しました。
それは、この2つの病気がさまざまな合併症を引き起こす引き金になっているからです。今回のお話を参考に、歯科医院で治療を受ける際には役立てていただければと思います。
現代は、患者さんの持病に関する情報の共有が、患者さんご自身のお口や体を守るために欠かせません。
持病があるか方、持病の治療をうけていてお薬を服用している方は、ぜひご理解頂き、歯科医院で治療を受ける際には、お薬手帳をお持ち下さい。
今回は成人病の2代疾患である高血圧症、糖尿病についてのご説明でしたが、
それ以外の注意が必要な事は数多くあります。
特に注意が必要なのが、骨粗しょう症の治療薬を服用中の方、リウマチ、喘息などでステロイドをお飲みの方、抗がん剤治療や放射線治療を受けていたりする方等も同じです。必ず、処置前に歯科医師へお伝えください。