2018
4/30
むし歯が繰り返し起こってしまう!2次カリエスの原因と対策!
むし歯の治療をしたにもかかわらず、しばらくしてから再び虫歯になってしまい、やり直しを余儀なくされたことのある患者さんも多いのではないでしょうか!?
また「むし歯を治療したから大丈夫」と油断してしまったり、「治療した歯は、もう虫歯にならない」と誤った考えのもと、検診に行くのを怠ってしまった経験のある患者さんもいらっしゃると思います
実は、治療を終えた歯は、今まで以上に虫歯になるリスクが高く、天然歯以上のブラッシングによるケアと定期検診が重要になってきます。治療済みの歯こそ、注意が必要になります。
大人のむし歯には、新しい場所にできるむし歯よりも、一度、銀歯や詰め物などで虫歯治療をおこなった後に、再発してしまうむし歯の方が多い傾向にあるからです。
このように一度治療した歯からできてしまうむし歯を二次カリエスと呼びます。
せっかく大変な思いをされて治したむし歯がやり直しになってしまい、その結果、歯の寿命を短くしてしまわないように、今回は二次カリエスの原因と対策についてお話をいたします。ぜひ参考にしてください。
二次カリエスとは?
カリエス(caries)とは歯科用語で虫歯(う蝕)のことを指します。C1、C2などの言葉を、検診で聞かれた方も多いいと思われますが、このCとはCariesのCのことを指します。
二次カリエスとは、一度治療をおこなった歯に発生する虫歯の事を言います。前述したように、成人に最も多い虫歯となっており、歯医者でおこなわれる虫歯治療の大半を占めています(統計によっては約7割!)。この二次カリエスを繰り返すことによって、再治療を重ねることは、歯にとって多大なダメージを与えることになります。
二次カリエスの怖い所は、一度治療をして削られた部分より、されに深く、広い部分に虫歯ができてしまうところにあります。当然ですが、虫歯の範囲がより広く、深くなってしまうと歯は残らず、どんどんと小さくなっていき、最後には歯を失うことに繋がります。
また金属や詰め物と歯の境目から進行していくため、患者さん自身が発見することは不可能であり、放置をしてしまうことにより、その結果として神経を取るなどの重症化を招く可能性があります。
神経をすでに除去してある歯ですと、さらに注意が必要になります。なぜなら歯ぐきよりも深いとことまで、むし歯が進行していきますので、最悪のケースでは金属が脱落した時には、抜歯になってしまうおそれもあります。
とっても怖い、二次カリエス!
治療をおこなった歯が、また虫歯になってしまうのはどうしてだと思われますか?
二次カリエスの原因
①不十分なプラークコントロールのため!
治療した歯にプラーク(歯垢)が付着していることにより二次カリエスを引き起こします。プラークが歯に付着することにより、詰め物と歯の間から細菌が侵入し虫歯を発生させます。
②詰め物や金属の経年劣化、変形によりできたすき間によるもの!
食事をした際、歯には体重と同じ位の力が加わります。無意識におこなわれる歯ぎしりでは体重の約1.5倍もの圧力にさらされることになります。当然、歯の詰め物や金属の被せ物にも同様の強い力が加わり、時間の経過とともに、金属の変形や破折をきたし、歯と詰め物の間に、すき間ができてしまい二次カリエスを引き起こします。
またCR充填(光で固める白い詰め物)は、金属に比べて強度が弱く、自分では気づかないうちに欠けてしまった所から2次カリエスになってしまうことがあります。
③接着力の低下やセメントの流出!
虫歯治療に使用する金属や、詰め物はセメントによって歯と接着しています。口の中の温度変化による刺激や、前述した数十キロにも及ぶ咬む力が加わることにより、セメントが徐々に壊れてしまい、剥がれてきてしまうことがあります。セメントが剥がれ落ちた所がすき間になってしまい、虫歯が進行していきます。
④歯科医師の技術力、治療精度の良し悪しによるもの!
歯科医師、技工士の技術力、治療精度によっても2次カリエスのリスクは影響を受けます。しっかりと完全に虫歯を除去し、丁寧に歯を削り、精密な型どりが出来ているかどうかが、とても重要になります。精度が高く、適合の良い詰め物を、しっかりと歯に接着させる事がとても大事になります。
⑤めったに歯科医院を受診しない!
何かトラブルが起きた時のみ、歯科医院を受診される方は要注意です。金属、詰め物の劣化や欠けている所は、ご自分で確認することが出来ません。痛みがでてからの受診ですと、歯をたくさん削る必要に迫られたり、神経を除去しなければならない危険性が高くなります。
下の写真は典型的な二次カリエスの症例となります。
全体的に金属が劣化し、歯と金属の間にすき間ができてしまっています。矢印の所の歯が欠けてしまい、細菌が侵入し、二次カリエスを引き起こしていました。
金属を除去してみると、金属の下は細菌感染をおこし、真っ黒の状態に!
幸いなことに、虫歯は神経にまで達していなかったため、神経を保存でき、歯の削除量も最小限に抑える事が出来ました。検診の最も有効なところは、問題が重症化する前にアプローチ出来る事にあります。
この写真の様ににならないためにも、2次カリエスの予防法をお話いたします。
二次カリエスの予防法
①治療した歯をしっかりと磨く
虫歯を治療した歯は、金属や詰め物と歯の境目に、プラーク(歯垢)が天然歯以上につきやすい状態になります。
治療済みの歯は、今まで以上にブラッシングを行う必要があるのです。また歯の歯の間を治療した際には、デンタルフロスの使用は必須となります。
②高濃度フッ素配合の、歯磨き粉を使用する
日常生活にフッ素を取り入れることにより、2次カリエスを予防します。フッ素は歯を強くして、虫歯ができにくくする効果があります。虫歯になりやすい患者さんでは、高濃度フッ素の歯磨き粉は、大変効果的な2次カリエスの予防策となります。
③メリハリのある食生活への改善
むし歯の原因である、甘い食べ物や飲み物!完全に控えるのは難しいものです。疲れた時などに、甘い食べ物が食べたくなるのは、皆さん同じだと思います。虫歯になりやすいのは、いわゆるダラダラ食い(ながら食べ)と呼ばれるものです。
食べ物を摂取してから、次の食べ物を食べるまでの時間が短い方や、飴などをずっと舐めている方は、お口のなかのPHが酸性に傾いた状態が続き、虫歯が発生しやすい状態になりますので注意が必要となります。
時間などをしっかりと決めて、メリハリのある生活が虫歯予防の第一歩となります。
④キシリトール製品の使用
ショ糖の摂取が習慣になっている方は、キシリトール配合の製品に変えてみてはいかがでしょうか。
キシリトールには、虫歯の進行を防ぎ、唾液の分泌を促し、お口の中が虫歯になりにくい環境に整えてくれる効果があります。また歯の石灰化を促し、虫歯菌(ミュータンス菌)の活動を低下させ、お口の中が酸性に傾くのを防いでくれる働きがりますので、虫歯予防には最適な甘味料ではないでしょうか。
⑤初期虫歯(う蝕)は削らず、経過観察を行う
一度削ってしまった歯は、二度と元には戻りません。初期の虫歯においては、安易に歯を削り、2カリエスのリスクを高めるよりは、経過を観察していくことが大切になってきます。
初期の虫歯には再石灰化の可能性もあり、フッ素やキシリトールを使用して、経過を観察していくことも、大事な治療の一つと言えます。
⑥劣化・変形しにくい材料を使用する
保険で使用する金属やプラスチックの素材は、強度が弱いために、劣化や変形を起こしやすくなります。
強度が強く、プラークの付きにくいセラミックにて、虫歯治療を行うのも有効な方法です。
⑦歯医者での定期検診
なんといっても、定期検診が一番の予防策となります。2次カリエスは、見つけにくい所に発生しますので、自分で確認することは、困難となります。
歯のメインテナンスにより、問題が重症化する前に、対策をとることが出来ます。
予防に勝る治療はないでしょう。
☆虫歯の治療を行った歯は、また虫歯になりやすい!!
治療が終わり、安心してしまう気持ちも十分わかります。
ただし一度、虫歯の治療をおこなった歯は、再度、虫歯になるリスクが高まります!
しっかりと歯医者にて口腔内のメインテナンスを行い、丁寧なブラッシングによる二次カリエスの予防が、なによりも重要になっております。