2018
6/26
【子どもの歯は大人が守る】 「要受診」のお子様は、すぐ歯科医院へ。
先日、ある新聞で、『千葉県内の公立小中・特別支援学校での歯科検診で、虫歯の治療などが必要な「要受診」と診断された子どものうち、約半数が受診していないことが、開業医らでつくる県保険医協会の調査で分かった』という記事が目に止まりました。生え変わった永久歯は、一度抜けたら二度と生え変わりません。今回の歯のコラムでは、子どもの歯の健康を守ることが、いかに大切な事か、親御さんがお子さまにしてあげたい、大切な事についてまとめました。
歯科検診 「要受診」も半数「行かず」
先日、ある新聞記事に、注目したいデータが記載されていました。
それは、
“千葉県内の公立小中・特別支援学校での歯科検診で、虫歯の治療などが必要な「要受診」と診断された子どものうち、約半数が受診していないことが、開業医らでつくる県保険医協会の調査で分かった。”
というデータです。(引用:東京新聞 Tokyo Web 2018年5月22日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052202000137.html
記事の内容を詳しく読んでみると、それらは、昨年(2017年)末に、県内の県立小中学校1,220校に調査票を郵送し、そのうち回答のあった450校の回答結果とのことでした。
前年度になんらかの歯の問題を抱えている子どもの口腔内を確認すると、半数の学校が、依然として歯科医院を受診しておらず、お口の健康に問題があると回答しているそうです。中には、お口の中が真っ黒な子どもの事例もあるようです。
子どものお口の健康が改善していない原因(理由)には、家庭の経済的・時間的な問題などがあげられているようですが、保護者さん自身が、お子様の歯の健康に関心が薄いという事もあるようですから、非常に残念な話です。
これらの結果を目にすると、やはり歯科医療に携わる私たちは、より一層、子どもの歯の健康に関する啓発を続けなければならないと、自問自答してしまいます。
それでは、今回の歯のコラムでは、子どもの歯の健康を守ることが、いかに大切な事か、お子さまにしてあげたい大切な事についてまとめてみたいと思います。
永久歯は生え変わりません
生まれたばかりの赤ちゃんは、しだいに乳歯が生え始め、そして永久歯へと生え変わります。母さんの母乳を卒業し、離乳食から普通のご飯に進んでいくと、だんだん、虫歯の原因になるような食べ物を食べ始めます。
基本的に、子供の時代は、できるだけ虫歯にならないよう、ダラダラお菓子を食べることをやめる、きちんと歯を磨く、小学校4~5年生になるまでは保護者さんの仕上げ磨きをする、などの基本的な事を守りさえすれば、大きな虫歯を引き起こすことはありません。
小さな初期のむし歯では、唾液が再石灰化を促してくれますし、同じく唾液がお口の中の清浄化を図ってくれるからです。
よって、子どもの歯を守るために、いくつかのポイントを守ってもらえるよう、保護者さまにはお願いしたいと思います。
そして、何よりも保護者さまに理解しておいていただきたい事、『永久歯は二度と生え変わらない』という事です。
乳歯は、永久歯と交換することによって、全て抜けていきます。
しかし、2回目に生えてきた永久歯は、一度抜けたら生え変わりません。
よって、乳歯から永久歯に生え変わった時点から、よりお子様の歯を大切にケアしてあげなければならないのです。
そして、さらに大切な事は、お子様の歯の直接的なケアだけでなく、お子様への指導・教育であると思います。子どもの頃から、『永久歯は二度と生え変わらない』 『歯の神経を大切にする』この2点をしっかり理解できるよう、お子様に指導・教育することが大切なのです。
親の手を離れていく子どもの歯の教育
しかしながら、本記事冒頭の新聞記事のデータを見ると、これらの指導・教育が全ての家庭で行われていく事は非常に難しいと思われます。
当然のことながら、歯科医療に携わるものとしては、このような問題意識について声を大にして伝えていかなければなりませんし、それが歯科医師としての大事な役割であると思っています。
前にも述べましたが、永久歯は生え変わらないので、絶対の歯を失うことを避けなければなりません。
お子様の将来において、最も大きく抜歯につながる歯の問題は、歯の神経を抜いてしまう事態まで虫歯を放置することにあります。
虫歯は、歯の神経を抜く事態になる前に治療を開始すれば、多くのケースで比較的簡単な治療で、むし歯を治す事が可能になります。
歯の神経を抜いてしまうと、栄養源を失った歯は、時間の経過とともに抜歯の方向に向かってしまいます。
よって、『できるだけ歯の神経まで達する深い虫歯を防ぐこと。』
これがとても重要であることを理解していただきたいと思います。
そして、子どもの歯に虫歯を発見したら、一日も早く歯医者さんに連れてきていただくこと。これだけで、歯の神経まで達する虫歯の予防につながります。
乳幼児の時代は、子どもは両親の言うこともきき、歯磨きの状態も目の届く所にあります。しかし、子どもは必ず親の手を離れて自立し始めます。
そんな時こそ、子どもの虫歯が見落とされやすいのです。
小中学校で、お口に健康に問題があった子どもの約半数が改善していないという点は、非常に合点がいくと思います。
検診や歯の治療は面倒くさいものではありません
それでは、ここからはお子さまの歯の検診と歯科治療についてまとめていきます。
前の記事の中では、歯に問題のある子どもが歯科医院を受診しない理由として、「保護者の仕事が忙しい」「経済的、時間的な余裕がなく歯科医院に連れて行けない」などの回答があったようです。
歯科医院の検診にかかる費用は、医療保険が使えますので、それほど高額な治療費ではありません。よって、最もネックになるのは、保護者さまの関心および時間的な余裕の問題かもしれません。
しかし、歯科医院における歯の検診や歯の治療は面倒くさいものではありません。軽度な虫歯であれば、1〜2回の通院で終わりますし、その後は、虫歯にならないように、歯の磨き方や生活指導なども行っておりますので、お子さまの指導・教育を、保護者さまに代わって歯科医院がやってくれます。
小学校も高学年以上にもなれば、近くの歯医者さんなら、お子さま一人での受診も可能でしょう。最近の歯科治療は、痛みを感じないような治療になっていますので、お子さまも怖くはありません。
一人でもきちんと受診が可能だと思います。
また、歯科医院では、お子さまと良好なコミュニケーションをとり、歯の健康を保つために、様々な話をすることができます。むしろ、ご家庭では、なかなかできない指導・教育をしてくれますので、むしろ歯科医院にお願いしたほうが良いと思われます。
とにかく、お子さまの歯を20歳すぎまで虫歯ゼロで過ごさせること。
これこそ、親が子どもに与えることのできる、非常に貴重なギフトだと思います。お子さまの歯の検診、歯の治療につきましては、お気軽にご相談ください。