2013
12/27
『その歯、まだ残せるかも』残根の治療法!!
歯冠部分(歯ぐきより上にある部分)が虫歯で崩壊した状態であり、かろうじて歯の根っこが歯肉の中に埋まっているのが見えると思います。
この写真の様に、歯根(歯の根っこ)だけしか残っていない状態を歯科用語で残根といいます。
残根の歯には、むし歯が進行しており多くの虫歯菌が住みついてしまいます。
残根状態になると歯の神経は死んでしまい、痛みがない事が多いのですが、治療せずに放置してしまうと付着している細菌が口腔内だけでなく周囲の組織にまで波及し、重篤な症状を起こすこともあるため、とても危険な状態と言えます。
この様な状態になってしまうと、通常の虫歯治療だけでは保存が難しく、最悪のケースでは抜歯となってしまうこともあります。
この様な残根になってしまう、主な原因として
◇治療途中のまま放置してしまい虫歯が進行してしまう
◇むし歯を治療しないで放置してしまい、さらに進行してしまう
◇差し歯と歯の境目からの虫歯の進行
などがありますが、今回のケースでは差し歯が取れてしまい、『抜歯は怖い!!」という思いから何年間も放置されていました。
抜歯覚悟で来院された患者さんなのですが、なんとか保存できることを説明し、治療を開始しました。
写真のような残根の歯に無理やりさし歯を被せたとしても、唾液や歯肉からの浸出液によりしっかりとした接着を行うことが出来ず、すぐ取れてしいます。
歯肉に埋まった状態ですと、精密な型どりも出来ず、差し歯の適合状態にも悪影響を及ぼします。
まずは、歯ぐきに埋まっている状態の改善が必要になってきます。
矯正治療を行うことによって歯を歯肉より上に引っ張り上げる事も可能ですが、お子様も小さく時間的に厳しいとの事情で歯周形成外科を施し、歯の周りの骨を少し削合し、この写真のように歯を歯肉よりも上の位置にくるようにしました。
歯ぐきよりも上に歯を位置づけることにより、しっかりと歯根と差し歯を接着させることが出来ます。
また歯肉よりも下に、被せ物と歯の境目があると通常のブラッシングできれいににすることができません。
しっかりとプラークコントロールを行える環境に整えてあげる必要もあるのです。
術後10日後ですが、歯肉が少し発赤しているのが分かると思います。
約2か月、歯肉の回復を待ちました。
ポーセレンクラウン(800,00)を装着しました。しばらくすれば歯肉ももう少し盛り上がって自然な仕上がりになるでしょう。
このケースのように、ボロボロになってしまった歯でも保存できることは多々あります。
抜歯になってしまうかも!?と歯科医院に行くのを躊躇している方、ぜひ一度ご相談下さい。